鳥肌胃炎は,前庭部を中心に約3mm大の小結節~顆粒状の隆起がほぼ均一に認められるH. pylori(Hp)感染胃炎で,小児および若年女性に好発する。近年,若年者における未分化型胃癌やMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の合併例の報告が散見され,鳥肌胃炎が若年者胃癌の発生母地として注目されている。
鳥肌胃炎は,1962年に竹本らによって,内視鏡所見が皮膚にみられる鳥肌のように観察されることから命名され,胃癌手術例として報告されている。NBI観察ではインジゴカルミン撒布により,隆起の中心にある白色斑点がより明瞭となる。結節隆起ではなく,小顆粒状隆起を呈するものもある。
欧米では「nodular antral gastritis」,「antral nodular hyperplasia」,「nodular gastritis」,などと呼ばれ,粘膜固有層の比較的表層におけるリンパ濾胞の増生が結節性変化の本態で,除菌によりその変化が消失する。一般的に,女性は男性と比較して,萎縮の程度が軽いとされる。結節が不明瞭化しているHp感染群では,前庭部にびまん性に結節を認める群と比較して,前庭胃体部小弯の萎縮が有意に強度であったことから,粘膜の萎縮が進展すると隆起が不明瞭になると考えられる1)。
小児では,鳥肌胃炎の罹患率に性差を認めないが,若年者および成人では女性に有意に多い。筆者ら1)は,若年成人100例(男性55例,女性45例,平均年齢21歳)の内視鏡所見を検討した結果,Hp陰性例に鳥肌胃炎を認めず,Hp陽性83例中55例(66.3%)に鳥肌胃炎を認めた。鳥肌胃炎は,女性感染例で有意に高頻度であった(オッズ比:3.9,95%CI:1.5〜10)。
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