「グルコキナーゼ活性化」という機序を持つ、新たな血糖低下薬が登場しそうだ。中国で行われたランダム化試験“DAWN”において、グルコキナーゼ(GK)活性化剤は、メトホルミンで血糖管理不良の2型糖尿病例のHbA1cを著明に低下させた。6月26日から4日間、完全バーチャルで開催された米国糖尿病学会(ADA)学術集会において、Hua Medicine社(中国)のLin Chen氏が報告した。
DAWN試験の対象は、メトホルミン1500mg/日を12週間服用したにもかかわらず、「HbA1c:7.5~10.0%」かつ「空腹時血糖(FPG):126~240mg/dL」だった18歳以上の767例である。
平均年齢は54.5歳、男性が62%を占めた。BMI平均値は25.9kg/m2、HbA1c平均値は8.27%、FPGは平均177.5mg/dLだった。
これら767例は全例がメトホルミンを継続の上、GK活性化剤“ドルザグリアチン”75mg×2/日群とプラセボ群にランダム化され、24週間、二重盲検法で観察された。また24週間の観察終了後は、安全性確認のため、さらに全例でGK活性化剤を28週間服用した。
その結果、1次評価項目である「二重盲検期間(24週間)のHbA1c」低下幅は、プラセボ群の0.36%に対し、GK活性化剤群で1.02%と有意に高値となっていた。同様に24週間後の「HbA1c<7.0%」達成率も、GK活性化剤群では44.4%と、プラセボ群の10.7%を有意に上回った(いずれもP<0.0001)。また服用開始24週間後に7.19%だったGK活性化剤群のHbA1c値は、さらに28週間服用(合計52週間服用)後も7.41%だった。
興味深いことに、GK活性化剤群では24週間後、食後2時間血糖値も、試験開始時に比べ98.1mg/dLの低値となっていた(プラセボ群は53.5mg/dL、群間差:P<0.0001)。また同期間、GK活性化剤群ではプラセボ群に比べ、HOMA2-β、HOMA2-IRとも有意な改善を認めた。
一方、有害事象については、GK活性化剤52週間服用期間中に重篤低血糖、重篤有害事象は1例も報告されず、有害事象全体の発現率も、GK活性化剤群とプラセボ群間で同等だった。
本試験はHua Medicine社などからの資金提供を受けて実施された。