サルコイドーシスは原因不明の多臓器疾患で,わが国の指定難病である。若年者から高齢者まで発症する。臨床症状は多彩で様々な臓器症状や全身症状を呈し,臨床経過は多様で自然寛解例から遷延・難治例まである。
診断基準では,組織診断群と臨床診断群の定義がなされている。組織診断群は,全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が陽性であり,既知の原因の肉芽腫および局所サルコイド反応を除外できるものである。
臨床診断群は,呼吸器,眼,心臓のうち2臓器以上において本症を強く示唆する臨床所見を認め,特徴的検査所見(両側肺門縦隔リンパ節腫大,血清ACE活性またはリゾチーム高値,血清sIL-2R高値,67Gaシンチグラフィーまたは18F-FDG/PETにおける著明な集積所見,気管支肺胞洗浄液のリンパ球比率上昇またはCD4/CD8比の上昇)の5項目中2項目以上が陽性のものである。
原因不明の疾患であり特異的な治療法はなく,肉芽腫性炎症を抑える治療が行われる。患者の約半数は2年以内に自然寛解するので,症状が軽微の場合には無治療で経過観察する。一方,生命予後・機能予後の悪化が予想される場合や,臓器障害のためにADLが低下する場合には治療介入を行う。
全身治療薬としてはステロイドが第一選択であり,難治例や再燃例などでは第二選択として免疫抑制薬を使用する。心病変,神経病変,高カルシウム血症などでは当初から全身治療を行うことが多い。一方,局所治療薬としては眼病変に対するステロイド点眼薬や眼内注射,皮膚病変に対するステロイド外用薬がある。また,肺病変に対する吸入ステロイドの使用経験も報告されている。
残り1,450文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する