回帰性リウマチは,周期的に1~数箇所の発赤,腫脹,疼痛を伴う関節炎が発症し,数日~2週間で自然に軽快する症候群を指す。関節リウマチ(RA)とは異なり骨破壊を伴わないが,約半数はその後関節炎が持続し,RAに移行するとされる。
発作性の単関節~数箇所の関節炎を周期的に繰り返し,数日~2週間で自然に軽快する経過を示す。回帰性リウマチ患者では典型的なRAと同様の,特定のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子の保有による疾患感受性も認められる。診断には周期的関節炎の繰り返しとともに,関節のX線画像に異常所見がないことを確認する。発作時の超音波所見においては関節滑膜炎ではなく,傍関節の皮下の炎症を認める。また,痛風,偽痛風,他のリウマチ膠原病疾患,自己炎症性疾患などの除外診断を行う。血清反応陽性例〔抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体やリウマチ因子陽性〕の場合には,RAへの移行について注意深く経過観察する必要がある。
再発性,発作性の単関節~オリゴ関節炎である。発作の頻度は年数回~数十回に及ぶこともある。発熱などの全身症状を伴わない。関節炎症状は数日で自然に改善することが多いが,2週間持続することも認められる。罹患関節はRAと同様で,手関節,手指のPIP関節, MCP関節が多く,膝や肩関節にも発症する。顎関節や脊椎関節の罹患は稀である。経過とともに多関節に発作が認められる症例においては,罹患関節は発作ごとに異なることが多い。RAとは異なり,男女比は同等とされる。
RAの疾患感受性と関連するHLA-DRのshared epitopeの関連が回帰性リウマチにおいて認められる。ただし,家族性地中海熱の原因遺伝子であるMEFV遺伝子の変異が,特に抗CCP抗体陰性例において認められるとの報告があり1),自己炎症性疾患との関連が想定されている。
発作時には炎症反応(CRP,血沈)の陽性を示すが,無症状時には消失する。約半数でリウマチ因子や抗CCP抗体陽性となる。ただし,関節炎発症時の超音波所見においては関節内の滑膜炎が主体となるRAとは異なり,関節外の皮下組織の浮腫や傍関節炎症所見が認められる。非発作時には超音波に異常所見を認めない2)。
いくつかの診断基準が提唱されているが,1992年のGuerneとWeismanによるものでは,表3)に示す内容が挙げられている。
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