【質問者】
青木智則 東京大学医学部附属病院消化器内科
【治療,予防,診断の分野では,RCTsがgold standardであろう】
近年,消化器領域においても,RCTsが盛んに行われています。消化器領域すべてにおいてRCTsがgold standardなのか,考えたいと思います。
RCTsでselection biasが少ないということを聞くと思います。clinical trials分野でのselection biasとは,selection bias by indication,すなわち,outcomeとinterventionとの間のconfounderになります。Niikura先生らによる急性下部消化管出血に対する内視鏡実施のタイミングについてのRCTsでは1),早期に大腸内視鏡を施行した群と待機的に施行した群の間のoutcomeに影響を与えると考えられる患者背景のバランスが保たれ,前述したconfounderの影響が除かれていました。ただ,RCTsでは,epidemiologyでいうselection biasは生じています。RCTsのstudy populationではinternal validityを保つために一部の患者を除外しており,一般の集団,target populationでのinterventionとoutcomeとの関連性との間に乖離が生じます。事実,Nagata先生らのpropensity score matchingの研究2)でのstudy populationではバイタルが不安定な患者が多く含まれています。
このように,やや重症である患者を対象として,治療効果を比較検討する場合は,RCTsでは難しいかもしれません。
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