巷には健康食品やサプリメントが氾濫し、健康被害も相次いで発生している。こうした事態を踏まえ、日本医師会の国民生活安全対策委員会は5月、会長諮問『生活上の様々な脅威から国民生活を守る医師会─食品安全を中心として」に対する報告書を作成。尾﨑治夫委員長(東京都医師会長)が、横倉義武会長に提出した。
報告書は、①食品安全をめぐって、②「いわゆる健康食品」、特定保健用食品、機能性表示食品、③「健康食品」を巡る各視座、④国民生活安全対策全般及び今後の本委員会─の4章で構成されている。
そのうち②では、「我が国は国民皆保険体制であり、科学的根拠のある医療行為はほぼ全てその対象となっている。したがって、特別用途食品といった例外を除けば、基本的にサプリメントや民間療法は医学的には不必要なものである」と明言。
その上で、「しかし、健康食品を利用する国民・患者は少なくないという実態もあるため、医師は日常診療において、問診票に健康食品の摂取の有無を質問する欄を設ける対応をまず行うことが望ましい」としている。
そして、患者から「健康食品」「サプリメント」について質問があった場合には、実物を持参してもらい、「ナチュラルメディシン・データベース(表1)で成分について参照しながらアドバイスを行えることが、かかりつけ医として望ましいあり方である」と提言している。
2015年4月に導入された機能性表示食品制度は問題点が多いことから、複数の委員から、日医に対し制度廃止に向けた活動を行うよう強く求める提言があったことを指摘。一方で、「この新制度を悪質な『健康食品』を排除できる仕組みとして活用を期待する意見もみられた」と両論併記し、国が同制度について恒常的な審議会等を設置することを求めている。
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