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[討論 Pro×Pro]医学教育の悲劇─「国試に通るための勉強」でいいのか(仲野 徹×久坂部 羊)

No.5102 (2022年02月05日発行) P.8

登録日: 2022-02-01

最終更新日: 2022-02-16

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Web医事新報チャンネルで配信中の対談「医学生たちよ、君らだいじょうぶか?」(全7回)よりPart 3「医学教育の悲劇」の模様をダイジェストでお届けします。阪大の同級生で大阪人同士の軽妙な掛け合いは、ぜひ動画でお楽しみください。

仲野 医学教育の悲劇の1つは、(学生が)みんなそこそこ頭がいいこと。頭がいいというより受験勉強に適した頭を持っている。一夜漬けができてしまう。1~2日勉強して試験を通るということを繰り返すから(医学知識が)全然身につかない。

久坂部 (日本医事新報連載の)「ええ加減でいきまっせ!」で「(医学知識は)プリンシプルをきちんと系統立てて覚えておかんとあかん」と書いていたけど、そういうのは学生は無理。ある程度バラバラな知識がたまってきたら、プリンシプルは見えてくる。

医師として仕事をしていた頃を振り返ってみると、役に立った知識や使える知識は勉強したものではない。必要になってから調べたものの積み重ね。

仲野 それはレベルの低い医者の話(笑)。

久坂部 現場はそれで通用する。逆に細かいことを知りすぎていると、診察時に枝葉に気持ちがいってしまう。鑑別診断が増えすぎたりする。めったにない病気を思い浮かべてもしょうがないと僕なんかは思う。

仲野 医学生に国家試験の勉強をさせすぎやと思う。

久坂部 国家試験に通るための勉強に批判的でしょ?

仲野 僕は勉強しない学生に厳しいけれど、「国家試験に通るからええやん」という議論が時々出る。それは間違っていると思う。医学部に入るような子は(国試に通るための)勉強をすれば国家試験をクリアできる。それは卒業してからどうなるかとは全然別問題。

久坂部 仲野の言っているのは、医者になる勉強よりも研究者になる勉強の話ちゃう?

仲野 医者として一生勉強を続けていかなあかんときに、「国家試験の問題を解く」的勉強ではあかんやろ。

久坂部 僕の感覚では、「国家試験を通らないと医者になれない」というのが目の前にバーンとある。だから、まず国家試験を通ることに全力投球する。

仲野 言い方を変えると、国家試験に通るための勉強をして国家試験に通るのではなく、もう少しちゃんと勉強して国家試験に通ってはどうかということ。

久坂部 贅沢やね。学生に対して求めすぎ。

仲野 結局、系統立ててきちんと勉強した方が早道やと思うねんけどな。それを講義で言って、「目が覚めました」という学生は結構おるけどね。

久坂部 どんな勉強法をすればいい?

仲野 基本的にはものすごく大事なことだけを覚えて、それから枝葉をつける。あるいは、例えば「急性炎症」と「慢性炎症」だったら、急性炎症の特徴をバチンと覚えてから、慢性炎症はどこが違う(と対比して覚える)。「幹を覚えて葉っぱを覚える」「対比して覚える」、そういうやり方をしたら全然違うと思う。

ある程度以上知識が増えたら、有機的に知識がつながるから、すごく面白くなってくる。

久坂部 学生の時はとにかく「試験に出るかどうか」。

仲野 お前、(学生時代)講義も出んと勉強もしてなかったくせに、えらそうに言うな(笑)。

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