【質問者】
桑名正隆 日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野教授
【気道病変を初期から認識し,今後起こりうる呼吸器合併症を予期しておくことが重要】
RAは代表的な自己免疫性疾患であり,患者数は国内で70万人以上と言われます。RAの治療の進歩は近年著しく,多くの症例で疾患活動性の制御が可能となっています。一方,RA患者の死因をみると,悪性腫瘍・心血管障害と並んで,呼吸器疾患(肺炎および間質性肺疾患)が多くを占めています。つまり臨床医には,患者の予後を改善するべく最適な呼吸器疾患の管理が求められているとも言えます。
RAの呼吸器合併症としては,細菌性肺炎・肺結核症・肺非結核性抗酸菌症(nontuberculous mycobacterial disease:肺NTM症)・ニューモシスチス肺炎・間質性肺炎(薬剤性肺障害を含む)などが問題となります。この中の多くは,既存に呼吸器病変を有する症例です。そのためRAの既存の呼吸器病変である,気管支拡張と細気管支炎といった気道病変は重要であり,これらを有するか否かをRAの治療介入の初期から認識しておくことが望ましいと考えます。なぜならRAに気道病変を有するものは,緑膿菌などの病因性細菌やNTMなどの定着が多く,今後細菌性肺炎や肺NTM症などの発症の母地となる可能性があるからです。
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