SUMMARY
リハビリテーション医学は人間の活動をみており,院内外のいかなる科の患者も対象となる。さらに,患者自身が活動の練習を効率的に行わない限り活動の障害が改善しにくいことがいわゆる医学的アプローチと決定的に異なる。(KEYWORDに続く)
KEYWORD
活動医学とプライマリ・ケア
(SUMMARYより続き)効率性を左右するのは活動のコーチ=リハビリテーションスタッフで,その監督たる医師も含めたチームの質が活動のアウトカムに直結する。これらのユニークな特徴はプライマリ・ケアの5つの理念とよく重なっている。
PROFILE
2014年より慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室助教。急性期,回復期,療養,在宅とさまざまな病期の施設で経験を積む。2018年,リハビリテーション科専門医。
POLICY・座右の銘
俺の命そっくりチップにしておまえらにかけるぜ!
リハビリテーション(以下,リハ)を一言で表すと「活動をみる」になる。当科がとっつきにくいのは,この活動のみかたに慣れていないからであろう。人体は細胞が集まって組織になり,組織が集まって臓器になり,臓器によって全身ができ,そこから活動とその集合である生活が発生する(図1)。いわゆる“医学”はこの流れに沿って患者を治療する。投与したCa拮抗薬は細胞(膜)にとりつき,血管平滑筋という組織を緩め,血管という臓器を拡張させ,全身では血圧が下がり,患者はふわふわしためまいが軽減して再び散歩に行けるようになり,生活が改善するのだ。手術も臓器に作用して同様に全身→活動を改善させる。
一方,リハはひたすら活動をみて,活動を良くする。そうすると流れが逆進し,患者は細胞まで良くなっていく1)のだ。活動とは?関節可動域や筋力も活動で,それらが合わさった歩行や食事動作なども活動だし,家に段差があったり通勤距離が長いといった制限要因も活動だ。リハ科はこのように皆さんには馴染みの薄い“活動”をみる集団なのである。