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■NEWS 【米国糖尿病学会(ADA)】「代謝異常」から見た肝脂肪蓄積量の正常上限は「2%」?:Dallas Heart Study

登録日: 2022-06-06

最終更新日: 2022-06-06

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近年、糖代謝異常と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の関連に注目が集まっている。NAFLDと診断される肝細胞脂肪蓄積量は現在、日米とも「5%以上」とされているが、糖代謝異常の観点から見た場合、この値は適切なのか―。そのような疑問を投げかけるデータが、63日から米国ニューオーリンズで開催中の米国糖尿病学会(ADA)学術集会で発表された。報告者は、Minh-Da Le氏(テキサス大学サウスウェスタン医療センター、米国)。

同氏が解析したのは、大規模住民コホートである“Dallas Heart Study”参加者中、MRスペクトロスコピーで肝脂肪が評価されていた2287名である(1865歳、平均44歳)。肝臓の脂肪含有率で五分位に分け、各種代謝パラメーターを横断的に比較した。

その結果、肝脂肪含有率第2五分位(1.812.86%)群においてすでに、HOMA-IR中央値は、正常値上限を超える「2.1」(四分位範囲[IQR]:1.23.4)だった。そして第3、第4、最高五分位と肝脂肪が増えるに従い、HOMA-IR中央値は2.73.65.1と増加する有意な傾向が認められた(最低群では1.61.12.9])。

ただし、この集団のBMI平均値は29.2kgm2であり、肥満例が相当数含まれている可能性がある。そこで「BMI30kgm2」の1455名(BMI中央値:25.5IQR23.227.8]) のみで検討した。しかし、やはり同様に、肝脂肪含有率第2五分位(1.532.36%)群のHOMA-IR中央値は正常上限を超えていた(1.71.12.6])。

以上よりLe氏は、現在は「正常」と考えられている程度の肝脂肪沈着時からすでに、代謝異常は始まっていると結論した。ROC曲線を用いた検討は行っていないが、肝脂肪含有率「2%」前後が、糖代謝異常の観点から見た正常上限ではないかという。

本研究には、申告すべき利益相反はないとされた。

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