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なぜ医療者がLGBTQについて学ぶのか─健康格差に対して医療者ができること[プライマリ・ケアの理論と実践(147)]

No.5123 (2022年07月02日発行) P.12

久保田 希 (一般社団法人にじいろドクターズ理事)

登録日: 2022-06-30

最終更新日: 2022-06-29

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SUMMARY
LGBTQの人々は,社会の偏見・差別の影響や,それを危惧し医療アクセスに障壁を抱えることで健康格差を経験する可能性がある(図1)。医療者はその背景を知り,格差を是正する行動をとるために適切な知識を持つことが重要である。

KEYWORD
周縁化された集団
医療の文脈では,特徴そのものに健康を害する生物学的要因がないにもかかわらず,社会経済的要素の影響や医療アクセスの障壁によって必要な医療が届きづらく,健康格差を経験する人々のことを指す。

久保田 希(一般社団法人にじいろドクターズ理事)

PROFILE
広島大学卒業後,亀田ファミリークリニック館山にて研修。家庭医療専門医,家族相談士。現在は関東複数箇所の家庭医診療所で訪問・外来診療を行う。2021年設立の一般社団法人にじいろドクターズ理事として活動。

POLICY・座右の銘
出逢いに感謝

1 そこにいるのに見えにくい存在

1 LGBTQとは

LGBTQとは,好きになる性「性的指向」についてのアイデンティティの「レズビアン:女性として女性を好きになる」「ゲイ:男性として男性を好きになる」「バイセクシュアル:女性も男性も好きになる」と,自分の性をどう認識しているかの「性自認」についてのアイデンティティの「トランスジェンダー:生まれたときに割り当てられた性別と性自認が異なる」の頭文字をとったLGBTに,性的指向・性自認について探求中,あるいは決めたくないクエスチョニング,または性的マイノリティ全体を示すのに当事者が使用したクイアのQを加えて,様々なセクシュアリティ(性のあり方全般)を包括して表現した性的マイノリティ全体を指す用語である。

2 患者としても医療者としても必ずそこにいる存在1)

LGBTQの人々は国内外の研究でも人口の3〜7%前後とされ,左利きやAB型の人など「必ずそこにいる」「出会っている」人々と同程度と言われており,患者や医療者の同僚として意識せずとも日々出会っている存在である。

3 ではなぜ見えにくいのか

そもそもセクシュアリティ,性のあり方は目に見えるものではなく,本人が伝えない限りはわからない。また異性愛や生まれたときに割り当てられた性別に違和感がない人が大多数で「普通」とされる社会では,それを前提にコミュニケーションがとられ,制度が整えられている可能性がある。そのような中で偏見・差別を恐れて気づかれないように過ごす当事者も多く,さらに見えにくい存在となっている。







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