特発性非特異性間質性肺炎(idiopathic nonspecific interstitial pneumonia:iNSIP)は,特発性間質性肺炎(IIPs)の疾患単位のひとつで,2013年の国際分類1)では特発性肺線維症(IPF)とともに慢性線維化性間質性肺炎に分類されている。しかし,急性・亜急性の発症や急性増悪の病態もある。iNSIPの経過は,治療が奏効し可逆性を示す症例から,治療抵抗性で線維化が進行する予後不良の症例まで多彩である。
一方,特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)もIIPsの疾患単位のひとつで,急性・亜急性間質性肺炎に分類されている1)。COPは再発することがあるが,ほとんどはステロイド治療によく反応する,比較的予後良好な疾患である。
詳細な問診,身体診察,血液・高分解能CT(HRCT)検査所見の評価を行い,膠原病に伴う間質性肺炎や過敏性肺炎などの原因の明らかな間質性肺炎を除外することが重要である。原因が同定できずIIPsと診断した場合には,多分野による集学的検討(multidisciplinary discussion:MDD)を行い診断する。現在の国際ガイドライン2)では,iNSIPおよびCOPの診断には外科的肺生検が必要であるが,実臨床では施行せず診断されることもある。
iNSIPおよびCOPの治療方針は,「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き2022【改訂第4版】」3)を活用し,治療反応性と副作用のリスクを勘案し,総合的に決定している。有症状例や呼吸機能低下例では,積極的に薬物療法(ステロイドや免疫抑制薬)を導入し,その後の臨床経過や治療反応性を再評価している。進行性線維化を伴うiNSIPでは,抗線維化薬ニンテダニブの導入を検討し,急性増悪時にはステロイドパルス療法等を行う。
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