No.5127 (2022年07月30日発行) P.10
吉田絵理子 (一般社団法人にじいろドクターズ理事)
登録日: 2022-07-29
最終更新日: 2022-07-28
SUMMARY
医療者の中にもLGBTQの人々はおり,多様なSOGIに関してもDE&Iの視点で職場環境を整えることで,心理的安全性が守られる。多様な背景を持つ人材確保・育成は,多様な患者の包摂,さらには医療の公平性を高めることに繋がりうる。
KEYWORD
DE&I
D&I〔Diversity(多様性),Inclusion(包摂性)〕という言葉が使われていたが,マイノリティの人々に対して社会的構造が不平等であるという問題意識からEquity(公平性)が加えられた。
PROFILE
川崎協同病院にて病院勤務をしつつ,東京慈恵会医科大学でLGBTQの医学教育に関する研究に従事している。2017年よりLGBTQ当事者医師として活動を開始し,現在は一般社団法人にじいろドクターズの理事として活動。
POLICY・座右の銘
早く行きたければ1人で行け,遠くへ行きたければみんなで行け
LGBTQ(レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー,クエスチョニングまたはクイア)に関するシリーズの最後となる今回は,DE&Iの視点からSOGI(Sexual Orientation & Gender Identity,性的指向と性自認)について考えてみたい。
D&IとはDiversity(多様性),Inclusion(包摂性)の頭文字であり,近年,経営戦略のひとつとしてD&Iを掲げる団体が増えており,さらにEquity(公平性)が加わり,DE&Iという用語が使われるようになってきた。
個別性を配慮せずに同じものを提供する「平等(equality)」に対し,誰もが適切にサポートを受けられるようそれぞれに合わせたものを提供することを「公平(equity)」と言う。たとえば,日本語を話すことができない人に対し,医療通訳のサービスを提供することは公平な配慮と言える。適切な医療をすべての人に公平に届けることは,健康格差を是正していく上で必要不可欠であろう。