抗原を反復吸入し感作が成立した後,同一の抗原を再び吸入すると,Ⅲ型・Ⅳ型アレルギー反応により肺胞壁(胞隔)や細気管支に病変をきたすアレルギー性の間質性肺炎である。アレルギー性炎症の遷延・減弱とともにTh1からTh2への移行・線維化をきたす。臨床像からは急性・慢性過敏性肺炎に,画像病理からは非線維性・線維性過敏性肺炎に分類される1)2)。
臨床像・発症環境・免疫学的所見の3項目から抗原曝露評価を行う。さらに画像・BAL(気管支肺胞洗浄)・病理を参考にMDD(多職種合議)診断で確信度を決定する1)。
治療の基本は抗原回避であり,抗原曝露評価は必須である。抗原が特定されない場合には予後が不良となる。急性過敏性肺炎では抗原回避を行い,呼吸不全例では短期間ステロイドを使用する。慢性過敏性肺炎では的確な抗原回避を行えば改善・進行抑制が可能であり,進行する場合はステロイド,さらに免疫抑制薬を考慮する。抗線維化薬の併用あるいは単剤投与を検討する。画像病理所見から炎症・線維化を判断して,非線維性・線維性を考慮し治療を選択していく3)。
ステロイド:副作用として感染症(結核,真菌症,サイトメガロウイルス感染症,ニューモシスチス肺炎など),消化性潰瘍,糖尿病,骨粗鬆症,精神症状,大腿骨頭壊死,ミオパチー,緑内障,白内障,血栓症や内分泌異常がある。ニューモシスチス肺炎の予防でST合剤1錠/日(あるいは2錠/日,週3回),消化性潰瘍の予防でPPIあるいはH2受容体拮抗薬,骨粗鬆症の予防でビスホスホネート製剤の内服を行う。
免疫抑制薬(シクロスポリン):カルシニューリンを阻害するため尿細管障害をきたし,腎毒性が問題となる。そのため100mg/日で開始し,血中濃度を適宜測定しながら,トラフ値が100~150ng/mLとなるように投与量を調整する。その他,高血圧,神経障害,代謝障害,感染症などが報告されている。
抗線維化薬〔オフェブ®(ニンテダニブエタンスルホン酸塩)〕:肝機能障害,下痢等に注意する。特に初期は,1〜2週おきに採血し肝機能をチェックする。
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