クローン病は原因不明の疾患である。病態において中心的な役割を果たすのが,免疫担当細胞の異常な活性化である。炎症の主座は粘膜下層であるため,血流・リンパ管循環障害に起因する深い縦走潰瘍や浮腫性変化による敷石様外観が消化管粘膜で認められる。本疾患は再燃と寛解を繰り返し,経過中に高度な腸管狭窄や瘻孔,膿瘍といった腸管合併症を伴う。
腹痛,下痢,体重減少,発熱などがよくみられる症状である。腸閉塞,腸瘻孔(内瘻,外瘻),腸穿孔,下血で発症することも少なくない。また,腹部症状を欠き,肛門病変に伴う症状,不明熱,関節痛などで発症することもある。
クローン病の治療に関しては,治療指針(厚生労働省研究班)・ガイドライン(日本消化器病学会)に従って治療を行う。活動期の治療目的は,炎症を速やかにコントロールすることである。寛解導入後は,維持治療を行う。寛解維持療法として,在宅経腸栄養療法,薬物療法が用いられる。生物学的製剤により寛解導入された後は,各々の定期的投与を行う。治療の最終目標は,腸の炎症を抑え,腹部症状を和らげ,患者に通常生活を送ってもらうことである。
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