株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

サルコイドーシス[私の治療]

No.5138 (2022年10月15日発行) P.51

宮崎泰成 (東京医科歯科大学医歯学総合研究科統合呼吸器病学(呼吸器内科)教授)

登録日: 2022-10-14

最終更新日: 2022-10-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 全身の様々な臓器に原因不明の肉芽腫ができ,臓器障害が起こる。罹患する臓器として,肺や縦隔肺門リンパ節,心臓,神経,筋,腎臓,骨,消化器,内分泌腺,外分泌腺がある。

    ▶診断のポイント

    組織診断群と臨床診断群にわけられる。組織診断群では,全身のいずれかの臓器で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が証明され,他の肉芽腫性疾患が除外されるものである。臨床診断群は,肉芽腫は証明されないが,呼吸器,眼,心臓の3臓器中2臓器以上で本症を強く示唆する臨床所見を認め,特徴的検査所見5項目〔両側肺門縦隔リンパ節腫脹,ACE活性/リゾチーム高値,血清sIL-2R高値,ガリウムシンチグラフィ/PET陽性,気管支肺胞洗浄液CD4/CD8比上昇(3.5を目安)〕中2項目以上陽性のものである。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    本症は自然寛解する例もあるが,慢性化・難治化してQOLの低下をきたすこともある。治療の基本は,ステロイドと免疫抑制薬である。特に,肺,心臓,眼,神経,腎臓など生命予後・機能予後を左右する臓器病変がある場合,各臓器の専門医が主導して治療と管理を行う。厚生労働省の定める指定難病(84)であり,重症度Ⅲ/Ⅳは医療費助成の対象となる。

    【治療上の一般的注意】
    〈ステロイド〉

    副作用として感染症(結核,真菌症,サイトメガロウイルス感染症,ニューモシスチス肺炎など),消化性潰瘍,糖尿病,骨粗鬆症,精神症状,大腿骨頭壊死,ミオパチー,緑内障,白内障,血栓症や内分泌異常がある。ニューモシスチス肺炎の予防でST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤1錠/日(あるいは2錠/日,週3回),消化性潰瘍の予防でPPIあるいはH2受容体拮抗薬,骨粗鬆症の予防でビスホスホネート製剤の内服を行う。

    〈免疫抑制薬〉

    シクロスポリン(保険適用なし):カルシニューリンを阻害するため尿細管障害をきたし,腎毒性が問題となる。そのため100mg/日で開始し,血中濃度を適宜測定しながら,トラフ値が100~150ng/mLとなるように投与量を調整する。その他,高血圧,神経障害,代謝障害,感染症などがある。

    メトトレキサート(保険適用なし):葉酸の代謝拮抗物質でチミジル酸合成に関与するジヒドロ葉酸還元酵素を阻害する。アデノシン遊離を促進することにより抗炎症効果を示す。副作用は消化器症状,肝毒性と白血球減少である。定期的に肝機能等のチェックを行う。副作用軽減の目的で,葉酸(フォリアミン®)をメトトレキサート開始から2日遅れて服用する。

    残り778文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top