【質問者】
野﨑祐史 近畿大学病院血液・膠原病内科准教授
【抗dsDNA抗体や補体価が参考になるが,すべての患者には当てはめられない】
SLEは多臓器に障害をきたす代表的な全身性自己免疫疾患です。近年,関節リウマチと同様にSLEにおいてもtreat to targetの概念が提唱され,低疾患活動性をめざす診療の意義について検証が進んでいます。このように「疾患活動性の制御」はSLE診療において中核をなす考え方であり,よって疾患活動性を正確にとらえることは臨床的に必要不可欠です。ここでは代表的な疾患活動性バイオマーカーについて概説します。
1950年台初頭にSLE患者から抗dsDNA抗体が検出され,その疾患特異性の高さからSLEの分類基準に採択されてきました。さらにSLEモデルを用いた検討を中心に,一部の抗dsDNA抗体がループス腎炎を惹起する病原性も有していることが示されました。一方,抗dsDNA抗体はその検出方法によって診断・疾患活動性を評価する力は大きく異なっています。
いくつかのレビューによるとSLEの活動性に対する抗dsDNA抗体陽性の感度は66%,特異度66%,尤度比4.14とそれほど高くありません。また,ループス腎炎の有無に対しても感度65%,特異度41%,尤度比1.7で,ループス腎炎の活動性に対しては感度86%,特異度45%,尤度比1.7であり,一部の症例では活動性評価に有用ですが全体としてはあまり有益な検査とは言えません。
残り710文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する