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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)[私の治療]

No.5141 (2022年11月05日発行) P.38

田坂定智 (弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座教授)

登録日: 2022-11-08

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  • 急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は,敗血症や重症肺炎など種々の疾患や外傷を誘因として発症する非心原性肺水腫であり,急性呼吸不全をきたす代表的な病態である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    急速に進行する低酸素血症のため,呼吸困難や意識障害がみられることが多い。身体所見に特徴的なものはないが,頻呼吸やチアノーゼを認めることが多い。聴診上は断続性ラ音を聴取することが多いが,気道周囲の間質性肺水腫により連続性ラ音を聴取することや,異常を認めないこともある。

    【検査所見】

    基本的に,本症の診断に必要な検査は胸部X線と動脈血ガス分析である。胸部X線では両側性の浸潤影を認めるが,病初期や脱水が顕著な場合には陰影が明らかでないこともある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    本症の死因が多くの場合,呼吸不全でなく多臓器不全であること,感染症を合併した症例では予後が悪いことなどから,治療方針としては,①基礎疾患に対する治療,②呼吸・循環などの全身管理,③臓器不全に対する治療,④感染症対策,が中心となる。多臓器不全を伴うことが多いため,腎機能,肝機能などをこまめにモニターしながら治療を行う。

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