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十二指腸憩室[私の治療]

No.5146 (2022年12月10日発行) P.42

河合 隆 (東京医科大学消化器内視鏡学分野主任教授)

登録日: 2022-12-13

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  • 十二指腸憩室は,大腸憩室についで多い消化管憩室である。上部消化管検査にて12~27%に認められると報告されている。加齢とともに増え,増大する傾向がある。十二指腸憩室は下行脚のファーター乳頭付近に発生する。
    十二指腸憩室は,腸管内の小血管が筋層を貫通する脆弱部に発生する仮性憩室であることが多い。筋層の収縮運動により小血管の血流が阻害され,粘膜虚血が生じやすいと考えられている。そして憩室内食物残渣が停滞することにより,憩室内圧の上昇に伴う粘膜虚血による出血,また停留物による憩室炎が合併しやすいと考えられている。さらに胃切除+Roux-en-Y再建術後の血流障害,腸内細菌の変化によって憩室炎が生じるとの報告がある。
    多くは無症状で経過するが,稀に穿孔・出血を起こすため,注意を要する疾患である。

    ▶診断のポイント

    十二指腸憩室は多くが無症状だが,稀に腹痛,発熱,出血,穿孔を伴う憩室炎,胆管炎,膵炎,閉塞性黄疸など(膵胆管の圧迫:レンメル症候群)の合併症等が起こることがある。

    十二指腸憩室は,健康診断などの際に胃のX線造影検査や内視鏡検査で偶然発見されることが多い。近年では腹部CT検査などの画像診断の進歩により,CT・シンチグラフィなどで発見される症例もあり,特に憩室炎を伴う膵炎,胆管炎,腹膜炎の診断にも有用性が高いとされている。

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