悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)は,関節リウマチ(RA)に血管炎をはじめとする関節外症状を認め,難治性もしくは重篤な臨床病態を示す疾患と定義される日本独自の疾患概念である。指定難病のひとつであり,医療費助成の対象となっている。
下記に示す厚生労働省研究班作成の診断基準により診断する。
①多発性神経炎:知覚障害,運動障害いずれを伴ってもよい。
②皮膚潰瘍または梗塞または指趾壊疽:感染や外傷によるものは含まない。
③皮下結節:骨突起部,伸側表面または関節近傍にみられる皮下結節。
④上強膜炎または虹彩炎:眼科的に確認され,他の原因によるものは含まない。
⑤滲出性胸膜炎または心囊炎:感染症など,他の原因によるものは含まない。癒着のみの所見は陽性にとらない。
⑥心筋炎:臨床所見,炎症反応,筋原性酵素,心電図,心エコーなどにより診断されたものを陽性とする。
⑦間質性肺炎または肺線維症:理学的所見,胸部X線,肺機能検査により確認されたものとし,病変の広がりは問わない。
⑧臓器梗塞:血管炎による虚血,壊死に起因した腸管,心筋,肺などの臓器梗塞。
⑨リウマトイド因子高値:2回以上の検査で,RAHAないしRAPAテスト2560倍以上(RF 960IU/m以上)の高値を示すこと。
⑩血清低補体価または血中免疫複合体陽性:2回以上の検査で,C3,C4などの血清補体成分の低下もしくはCH50による補体活性化の低下をみること,または2回以上の検査で血中免疫複合体陽性(C1q結合能を基準とする)をみること。
皮膚,筋,神経,その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎,肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。
「ACR/EULAR関節リウマチ分類基準2010年」を満たし,上記に掲げる項目の中で,
1.臨床症状①~⑩のうち3項目以上満たすもの,または
2.1)臨床症状①~⑩の項目の1項目以上と2)組織所見の項目があるもの,
をMRAと診断する。
残り1,253文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する