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食道癌におけるAIによる内視鏡診断の有用性について

No.5146 (2022年12月10日発行) P.53

富田英臣 (愛媛大学医学部消化器・内分泌・代謝内科学 (第三内科))

由雄敏之 (がん研有明病院上部消化管内科食道担当部長)

登録日: 2022-12-08

最終更新日: 2022-12-06

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  • 最近,胃癌や大腸ポリープへの人工知能(artificial intelligence:AI)による内視鏡診断の有用性が報告されていますが,食道癌におけるAIによる内視鏡診断の有用性についてご教示下さい。がん研有明病院・由雄敏之先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    富田英臣 愛媛大学医学部消化器・内分泌・代謝内科学 (第三内科)


    【回答】

    【食道癌でもAIによる内視鏡診断の有用性が次々と報告されている】

    近年,AIはますます身近なものとなり,AIスピーカーや携帯電話にとどまらず,自動車や電化製品などにも搭載され,翻訳ソフトも目覚ましく進歩しています。2012年に画像の分類精度を競うコンテストで畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)の構造を用いた深層学習(Deep Learning)と呼ばれる機械学習手法を用いることにより,AIの画像認識能力が飛躍的に向上することが示されました。この手法を用いたAI研究はその後急速に活発になり,2015年にはAIの画像認識能力は人間を上回っています。つまり内視鏡画像を判定するAIも適切に教育すると人間を上回る診断ができる可能性があります。

    食道癌は早期診断されれば侵襲の少ない治療が可能で予後良好です。近年では内視鏡検診が多くの市町村で採用されるようになり,食道癌の早期発見も進むと期待されます。しかし,発赤調の隆起性病変が多い大腸癌と違い,早期の食道癌はわずかな発赤を伴うだけの平坦な病変が多く,早期の食道癌が画面上に映っていても熟練した内視鏡医でないと認識が難しいことがあります。そこで,AIを用いることで食道癌診断がより容易で正確にならないかと期待されます。

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