顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は,主として小血管を障害し,免疫複合体沈着をほとんど認めない壊死性血管炎である。血中には高率に抗ミエロペルオキシダーゼ好中球細胞質抗体(myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody:MPO-ANCA)が出現する。肉芽腫性炎症は認められない。腎臓,肺,神経,皮膚にしばしば病変を認める。男女比はほぼ1:1で,好発年齢は55~74歳と高齢者に多い。
発熱,体重減少,易疲労感,筋痛,関節痛などの全身症状が約7割の患者に出現する。
壊死性糸球体腎炎が最も高頻度であり,尿潜血,赤血球円柱, 尿蛋白が出現し,数週~数カ月で急速に腎不全に移行することが多い。
肺症状(間質性肺炎,肺胞出血),皮膚症状(紫斑,皮膚潰瘍,網状皮斑,皮下結節),神経症状(多発性単神経炎)が出現する。
CRPが上昇し,血中には高率にMPO-ANCAが出現する。腎病変では尿沈渣,尿素窒素,クレアチニンの異常,肺病変では単純X線,胸部CT画像の異常,神経病変では神経伝導速度検査の異常などを認める。
MPAの治療は,寛解導入療法と寛解維持療法にわけて組み立てる。可能な限り速やかに組織生検を含めた確定診断を行い,寛解導入療法を開始することが長期的予後を改善する上で重要である。専門医のもとでの治療が強く推奨される。
副腎皮質ステロイドは現在の治療で必須の薬剤であるが,できる限り計画通りに減量し,長期使用による副作用を最小限に抑えるように努める。
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