本来扁平上皮で覆われている食道下端が,胃酸や胆汁逆流,逆流性食道炎により生じた粘膜傷害の治癒過程で円柱上皮化生した状態である。わが国の定義では,腸上皮化生の有無は問わない。バレット食道を全周性に3cm以上認める場合をlong segment Barrett’s esophagus(LSBE),それ未満のものをshort segment Barrett’s esophagus(SSBE)と呼ぶ。バレット食道は,食道腺癌の発生母地とされ,その長さが長いほど腺癌発生リスクは上昇する。日本人を対象とした最新の前向き試験では,長径2cm以上のバレット食道からのがんの発生率は0.47%(0.01~1.81%)/年であった1)。
バレット食道の内視鏡診断のためには,食道胃接合部(esophagogastric junction:EGJ)の診断が必要である。わが国では,バレット粘膜の所見である柵状血管の下端が用いられるのが一般的である。一方,欧米では,胃粘膜ひだの上端とするのが主流である。扁平上皮下端からEGJまでがバレット食道と診断される(図)。病理学的には,固有食道腺とその導管,粘膜筋板二重構造,柵状血管などの組織所見を指標に判定する2)。
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