(質問者:岐阜県 K)
(1)医療法の経緯
医療法は,医師法,歯科医師法などと並び,医療の供給体制を規律する法律として,わが国の衛生法規の根幹をなすものです。医師法,歯科医師法などが,医療関係者の身分およびその業務や権利義務を定めた法であるのに対して,医療法は,医業または歯科医業を行うことのできる施設としての病院,診療所および助産所について定める医療施設法をその中核としています。
1948年に医療法や医師法,歯科医師法が制定されましたが,その源流は明治7年の医制に由来します。医制では,医師の資格を定めるとともに,医療施設の規制を行う規定も存在し,現行の医療法と医師法双方の性格を併せ持ったものでした。
その後,各府県の病院取締規則,診療所取締規則,1933年制定の医師法,歯科医師法を受けた診療所取締規則および歯科診療所取締規則を経て,1942年に国民医療法が制定されました。国民医療法は,医療供給体制を戦時体制に改編するものでしたが,初めて病院と診療所との区分を明確化したり,医療機関の不均衡是正を図っていました。
戦後の医療行政の最大の課題は,わが国の医療供給体制の再建と戦時体制を平和時のものに切り替えることにありました。そして,1948年,国民医療法が解体され,医師法,歯科医師法,保健婦助産婦看護婦法(現,保健師助産師看護師法),歯科衛生士法などといった,各種医療従事者の資格法とともに医療法が制定されることになったのです。
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