わが国では小児期急性膵炎の成因として,胆道拡張症やそれに合併する膵・胆管合流異常症,および胆石症などの膵胆道系異常が多くを占め,薬剤性,外傷,全身疾患に伴うものなどが後に続く。小児の急性膵炎症例のうち15~35%は反復性膵炎をきたす。慢性膵炎患児には膵炎反復の既往があり,その診断年齢は反復性膵炎患児よりも高い。
急性膵炎の診断は臨床所見(上腹部の急性腹痛発作と圧痛),生化学検査(アミラーゼ,リパーゼ値の上昇),および画像検査(超音波,CTまたはMRIでの異常所見)から行う。初発症状としては腹痛,嘔吐・嘔気,発熱が多く,1歳以上では85~90%の症例が腹痛を主訴として来院する。
初期治療の基本は,絶食をはじめとした膵の安静(膵外分泌刺激の回避)である。小児においても「急性膵炎診療ガイドライン2021」に従い,急性期には体液・電解質の補正,疼痛の軽減,感染予防と治療を行っていく。また,適切な時期に飲水や食事を開始することも治療を継続していく上で重要なポイントである。
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