福井県の化学工場の従業員が相次いで膀胱がんを発症した問題を受け、厚生労働省の「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」は8月26日、発がん性物質「オルト─トルイジン」(用語解説)の製造や取扱いに常時従事する労働者に対する特殊健診の項目をまとめた。
特殊健診項目のうち、一次健診として対象者全員に実施するのは、①業務の経歴の調査、②作業条件の簡易な調査、③オルト─トルイジンによる他覚症状または自覚症状(頭重、頭痛、めまい、倦怠感、疲労感、顔面蒼白、チアノーゼ、心悸亢進、尿の着色等)の既往歴の有無の検査、④現在の他覚症状又は自覚症状の有無の検査、⑤尿試験紙法による尿潜血検査─の5項目。
一次健診では、医師が必要と認めた場合に「尿中のオルト─トルイジン量の検査」と「尿沈渣検鏡、尿沈渣のパパニコラ法による細胞診の検査」の実施も求める。特に、尿中のオルト─トルイジン量は、曝露評価を行う際の重要な指標となるため、厚労省は原則として実施するよう通知等で勧奨する予定。