膠原病は全身の結合織を系統的に侵す原因不明の慢性炎症性疾患であるが,本症に合併する間質性肺炎(膠原病肺)は予後を左右する最も重要な臓器病変である。膠原病によって,間質性肺炎の合併頻度や間質性肺炎の病型(発症様式や画像・組織パターン),治療反応性,予後に違いがある。間質性肺炎の合併頻度は,強皮症(SSc)や多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)で高いが,全身性エリテマトーデス(SLE)では低い。
乾性咳嗽,労作時呼吸困難などの症状で発症し,fine cracklesを聴取する。胸部高分解能CT(high resolution CT:HRCT)上で,びまん性のすりガラス影,網状影を呈することが多く,蜂巣肺を認めることもある。血液検査ではKL-6やSP-D(surfactant protein-D)などの間質性肺炎の血清マーカーが高値となることが多い。肺機能検査では拘束性換気障害や拡散能低下を示す。
鑑別診断としては,膠原病の治療に用いる薬剤を原因とする薬剤性肺障害,ニューモシスチス肺炎等を含む日和見感染症といった肺感染症などが重要である。
膠原病に合併した間質性肺炎は,特にSScなどの慢性型の場合,すべての症例が進行性の経過を示すわけではない。したがって,治療適応は重症度や疾患進行(disease behavior)などを考慮して決定する。一方で, DMなどに合併する急性型は治療介入が必要となる。治療は,一般的にはステロイドや免疫抑制薬などによる「抗炎症治療」が中心となるが,進行性の線維化を示す症例においては「抗線維化治療」が考慮される。両者の位置づけ,あるいは併用などについては,まだ十分なエビデンスはない。代表的な膠原病である関節リウマチ(RA),SSc,PM/DMについて処方例を示す。
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