【質問者】伊藤信仁 名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
【全身状態や併存疾患をふまえて症例ごとに方針を決定することが望ましい】
昨今の検診の普及や内視鏡機器・診断技術の進歩により胃癌や食道癌が早期発見される機会が増える中,わが国では人口の高齢化に伴い高齢の早期癌患者が増加しています。消化管の早期癌は内視鏡的に切除が可能であるため,高齢者に限らず早期発見・早期治療が重要です。
高齢患者の一部では,身体機能や認知機能の低下や併存疾患などの問題から標準的な治療が難しい場合があります。内視鏡切除は手術等と比べて体への侵襲が小さいため,内視鏡切除の適応外病変であっても切除を行うことや,内視鏡切除後に非治癒切除の判定となった場合でも,内視鏡切除のみで済ませることがあります。これまでの研究において早期癌の内視鏡治療後非治癒切除の判定となっても,その後の原病死リスクは低いということが報告されており,全生命予後という点からは内視鏡治療は手術を回避したい高齢早期癌患者にとって有効な選択肢と言えます。
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