降圧剤「バルサルタン」の臨床試験を巡るデータ不正操作問題が発覚したことを受け、日本学術会議は3月27日、研究者が主導する臨床試験の不正防止策として、国や医療機関に支援組織を設けるよう求める提言をまとめた。
提言では医療機関に対し、研究者主導臨床試験の支援と管理を強化する「臨床研究管理センター」の早急な整備を要望。企業から資金提供を受ける臨床試験では、同センターの監督下で適正な契約を結ぶことを義務づけるべきとした。このほか、各医療機関にガイドラインの自主的な策定を求め、その中でデータ管理と統計解析の独立性などを明記するべきと強調した。
一方、大規模な臨床試験を行う場合については国の関与を求めた。国が研究を推進する組織を独立行政法人などの公的機関に設置し、透明性を確保した上で企業などの資金も活用すべきとした。研究者が企業から直接寄付を受けることのないよう、国が研究者を公募・選考して臨床試験を行わせる仕組みを構築し、不正防止につなげたい考えだ。学術会議は同日、厚生労働省に提言を提出した。