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胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡治療の現状は?

No.5165 (2023年04月22日発行) P.52

前川 聡 (大阪警察病院消化器内科医長)

七條智聖 (大阪国際がんセンター消化管内科医長)

登録日: 2023-04-22

最終更新日: 2023-04-18

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  • 胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)に対する内視鏡治療の現状についてご教示下さい。大阪国際がんセンター・七條智聖先生にご解説をお願いします。

    【質問者】前川 聡 大阪警察病院消化器内科医長


    【回答】

    【11~30mm,内腔発育型で潰瘍のないものは先進医療として内視鏡的胃局所切除術の適応】

    SMTは胃壁を構成する様々な組織から生じますが,そのうち65~80%を占める消化管間質系腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)は悪性の性質を持ち,治療を要します。胃SMTのうち,生検でGISTと診断されたもの, または2cm以上で悪性所見(潰瘍形成, 辺縁不整, 増大傾向)があるものは手術適応とされています1)

    GIST切除の第一選択は外科手術ですが,GISTはリンパ節転移や浸潤性発育がないため局所切除の良い適応であり,近年,中国など海外を中心に経口内視鏡を用いた内視鏡的切除術の報告が増えています2)~4)

    GISTに対する内視鏡切除の利点は,内腔発育型の病変において体壁の切開なしに胃壁と壁外組織の損傷を最小化することで臓器機能を温存できることです。GISTは筋層に連続するため,その内視鏡切除では穿孔をきたすことも多く,創部の閉鎖がポイントとなりますが,様々な内視鏡的閉鎖法の開発によって5),わが国でも胃SMTに対する内視鏡切除の件数は増加傾向にあり,その有効性と安全性が報告されています6)

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