2014年度診療報酬改定の帝王切開術点数の無効を確認する申立書を東京都の産科医が15日、東京簡易裁判所民事調停に提出した。
申立書を提出したのは池下レディースチャイルドクリニック院長の池下久弥氏。申し立ての相手は、社会保険診療報酬支払基金と東京都国民健康保険団体連合会。
帝王切開術(緊急・選択)は14年度改定で20140点となり、前回12年度改定から2020点引下げ。前置胎盤合併の場合は21640点で、2880点引下げとなった。
これは手術時間の短縮によるもの。医療技術の診療報酬は外科系学会社会保険委員会連合の『外保連試案』を参考に決められており、改定に先立ち外保連が実施した調査では、帝王切開の手術時間が60分で、前回調査から半減。そのため14年度試案では、手術料を12年度試案の42万4300円から人件費を半減して23万円とした。
なお、外保連試案は通常、厚労省提出前に関係団体が確認するが、今回は誤って12年度試案の手術料で確認が求められ、関係団体がこれを了承するという手続き上のミスも発生した。
18日に会見した池下氏は、この手続き上のミスに加えて、「帝王切開は以前から30~60分で終わる」と述べ、「2014年度改定は正当な理由によらないもの」と指摘。
その上で、「大幅引下げによって経営体力の弱い産科診療所は、お手上げの状態」とし、閉鎖する産科診療所の増加により全国の産科医療が崩壊すると訴えた。