消化器病の診療ガイドラインに関する特別企画が4月23日、都内で開かれた第100回日本消化器病学会総会で行われ、機能性ディスペプシア(FD)、過敏性腸症候群(IBS)、NAFLD/NASH、大腸ポリープの4つの新規ガイドライン(GL)、また胃食道逆流症(GERD)など改訂作業中の6つのGLについて、作成委員が解説した。
このうち、FDの診療GLについて作成委員会副委員長の草野元康氏(群馬大教授)は、「プライマリケア医、消化器専門医それぞれの診断・治療フローチャートを作成した」と説明。GLのポイントとして(1)直ちに内視鏡検査ができない場合はFDを疑う、(2)必ずしもヘリコバクター・ピロリ菌の診断治療を先行させるのではなく、並列に組み入れた、(3)エビデンスに基づき、初期治療として酸分泌抑制薬と消化管運動機能改善薬、2次治療として抗不安薬・うつ薬と漢方薬を推奨した─などを挙げた。
IBSの診療GLについては作成委員長の福土審氏(東北大教授)が解説。5-HT3拮抗薬、消化管運動機能改善薬、抗コリン薬、止痢薬、抗うつ薬、抗不安薬、プロバイオティクスなど国内で使用される薬剤を網羅し、保険適用外でもエビデンスのあるものに言及するなど臨床に適合したGLと強調し、「日本発IBSのGLを世界に発信していきたい」と述べた。