株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

肺水腫(心原性肺水腫)[私の治療]

No.5177 (2023年07月15日発行) P.48

山﨑直仁 (高知大学医学部老年病・循環器内科学准教授)

登録日: 2023-07-16

最終更新日: 2023-07-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 心臓が原因で,左房圧(=肺毛細血管圧)上昇から肺水腫が生じた状態を「心原性肺水腫」と呼ぶ。肺毛細血管の透過性が亢進すれば,圧が高くなくても肺水腫は生じ,「非心原性肺水腫」と呼ばれ,急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)がこれに相当する。肺水腫は肺胞性肺水腫と間質性肺水腫にわけられる。

    ▶診断のポイント

    肺水腫では呼吸困難感を伴う。また,肺胞性肺水腫では血性泡沫状喀痰を認めることがある。聴診では,間質性肺水腫ではlate inspiratory cracklesを,肺胞性肺水腫ではpan inspiratory cracklesを聴取する。胸部X線写真では水分漏出により肺野の透過性が低下し,肺胞性肺水腫ではbutterfly shadowがみられる。肺エコーでは,Bラインが観察される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    肺水腫の重症度により治療方針が異なってくる。最重症の場合は,気管挿管による人工呼吸管理が必要であり,集中治療室への入室が必要となる。一方,軽症の間質性肺水腫で酸素化が保たれていれば,ループ利尿薬の静注または経口利尿薬の増量で,外来で経過をみるという選択肢もありうる。

    残り1,422文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top