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急性好酸球性肺炎の回復指標［聴いて覚える肺聴診ギャラリー（11）］
症例 深吸気時の胸痛，全身倦怠感，発熱がある20代の女性
【現病歴】2カ月前に新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に罹患したが呼吸困難なく治癒。1カ月前から前胸部正中に短時間の痛みが時々あった。2日前から深吸気時の胸痛・咽頭痛，呼吸困難と咳，全身倦怠感。前日からは39℃台の発熱，鼻汁・咳嗽あり。仰臥位と前傾姿勢で呼吸困難は増悪。耳鼻咽喉科のファイバー検査で喉頭蓋に炎症所見なし。インフルエンザ，コロナ迅速検査陰性。SpO2 94％と低下し紹介受診。
【現症】体温38.5℃，血圧134／75mmHg，脈拍数126回／分，心拍数20回／分，SpO2 94％（室内気）。肺音：右中・上肺野にコース・クラックル。
【検査所見】WBC 23300／μL，好中球89％，好酸球0.9％，CRP 7.07mg／dL，LD 322U／Lなど肝腎機能正常。入院時胸部X線（図1），胸部CT（図2）。
【既往歴】特記事項なし。
【アレルギー歴】牛乳・ヨーグルト，魚，甲殻類，貝類，果物などで蕁麻疹。花粉症あり。
【生活歴】1カ月前からアイコス™（加熱式たばこ）5本／日を週5日吸いはじめた。
【経過】入院して，酸素吸入のみで経過観察。翌日には呼吸困難は軽減した。翌日の聴診では深吸気終末のクラックルを聴取した（図3）。若年で1カ月前からの加熱式たばこ利用開始という背景・病歴から急性好酸球性肺炎を疑った。気管支肺胞洗浄（BAL）＋経気管支肺生検（TBLB）を実施。BAL液で細胞数2850／μL，好中球1.0％，リンパ球39.0％，好酸球44.0％，マクロファージ14.0％の結果を得て，急性好酸球性肺炎の診断。
