薬剤治療抵抗性高血圧、それも多くが食塩非感受性であっても、減塩指導により血圧は著明に低下することが、少数例を対象とした観察で明らかになった。減塩後の血管内皮機能改善も示された。デンマーク・オーフス大学のBodil G. Hornstrup氏らが9月19日、BMC Nephrology誌で報告した。
今回の解析対象となったのはデンマーク在住で、3カ月以上の降圧薬服用にもかかわらず「24時間血圧≧130/80mmHg 」だった15例である。血圧測定直近の降圧薬服用(起床後)は観察下で実施した。
症候性心不全例、中等度以上腎機能低下例、末梢浮腫例、閉塞性睡眠時無呼吸治療例などは除外されている。
平均年齢は59歳で、11例が男性。降圧薬服用数(中央値)は5.5剤/日だった(K保持性利尿薬服用は8例)。
尿中Na排泄量から推算される食塩摂取量は11.2g/日だった。
ただし食塩感受性(salt blood test評価)を認めたのは20%のみである。
これら15例は2週間の通常食摂取後、減塩食に変更し2週間継続した。減塩食実施にあたっては、減塩マニュアルと食塩無添加パンが支給された。
いずれも期間終了前の3日間で血圧、ならびに血圧変動と関連する因子を評価した。
・Na排泄
その結果、まず24時間尿中Na排泄量だが、「通常食」期間中に有意な変化はなかった。一方、「減塩食」終了時には「通常食」終了時に比べ、2.2gの有意低値となっていた。
・血圧
同様に「24時間血圧」も、「通常食」期間中は有意な変化を認めなかったが、「減塩食」終了時には「通常食」終了時に比べ「10/5mmHg」、有意に低くなっていた。
これは「夜間血圧」で比較しても同様で、「通常食」終了時に比べ「8/5mmHg」の有意低値だった。
・内皮機能
さらに血管内皮機能マーカーである一酸化窒素(NO)代謝産物(NOx)は、「通常食」期間終了時に比べ「減塩食」終了時で、有意高値となっていた。
そしてこのNOx濃度の変化は、24時間血圧変動と相関する唯一の因子だった。一方Na排泄量(±K補正)と血圧変動の間には有意な相関は認められなかった。
本研究はグロストラップ病院研究基金とデンマーク心臓基金から資金提供を受けた。