【概要】厚生労働省は7日、改正労働安全衛生法に盛り込まれた、医師・保健師等が労働者に実施する「ストレスチェック」で、検査が推奨される3領域23項目を提示した。
厚労省が「ストレスチェック項目等に関する専門検討会」の初会合で示した推奨項目は下掲の通り。
6月に公布された改正安衛法では、従業員50人以上の事業所の経営者に対し、医師・保健師等による「心理的な負担の程度の検査」(ストレスチェック)の実施が義務づけられた。検査は質問紙形式で行い、結果は直接本人に通知。高ストレスと判断された労働者は、産業医等に直接相談あるいは事業者に産業医の面接を申し出ることができ、事業者はその面接結果を医師から聴いた上で、職場環境改善のための措置を講じなければならないとしている。
厚労省は同制度の目的を、精神疾患の発見(二次予防)ではなく、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)とし、高ストレス者のセルフケアと職場環境改善につなげるとしている。
●ストレス要因も検査、委員からは「大転換」
推奨項目は、無料で使用可能かつ現在の産業保健の現場で最も普及しているとされる「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)のうち、(1)心身のストレス反応、(2)仕事のストレス要因、(3)周囲のサポート─に関連する3領域から23項目を抜き出したもの。
同省は、自殺対策を念頭に置いた前回の改正案(国会審議未了で廃案)の検討段階では、抑うつや不安を検査する9項目(下掲のうち*印)を推奨項目として例示してきたが、今回は「職場環境改善につなげるためには、ストレス反応の検査だけでは不十分」(同省安全衛生課)であるとして、ストレス要因を検査する項目が追加された。
これに対し委員からは、「大転換だ」と驚きの声が上がった一方で、「現場の産業医や保健師は9項目が推奨項目と言われ続けてきたので、追加する項目のエビデンスを示す必要がある」との指摘もなされた。
●反応、要因、サポートの質問は必須
法規定では、同制度の施行時期は遅くとも来年12月とされている。同省は「3領域を検査することは省令で定めて必須としたいが、細かな推奨項目については指針で提示する」としている。省令・指針は来年3月までに策定される見通し。