株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

早期食道癌(内視鏡治療)[私の治療]

No.5195 (2023年11月18日発行) P.50

井上晴洋 (昭和大学江東豊洲病院消化器センターセンター長/特任教授)

登録日: 2023-11-15

最終更新日: 2023-11-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 早期食道癌は,食道の固有の粘膜に発生するものが食道扁平上皮癌であり,Barrett食道に発生するものがBarrett腺癌である。一部に特殊型があるが,前述の2者が大多数を占める。わが国では扁平上皮癌が多数である。いずれの組織型であっても粘膜癌であれば,基本的にリンパ節転移の頻度は低く,内視鏡的切除の適応となる。粘膜下層癌となるとリンパ節転移の可能性が出てくる。様々な画像診断が有用である。

    ▶診断のポイント

    内視鏡診断が主体となる。扁平上皮癌であれば,通常観察での領域性を持った色調の変化,わずかな凹凸面が拾い上げ診断のカギとなる。また,それらはnarrow band imaging(NBI) によるbrownish areaとして認識されることが多い。特に最新の内視鏡機器を用いた場合,口腔内から食道にかけては,NBIによる観察のほうが病変の拾い上げが容易なことが多い。一度,病変を拾い上げることができれば,拡大内視鏡で日本食道学会分類のB1〜3の血管観察が決め手となる。背景粘膜の上皮乳頭内血管ループ(intra-papillary capillary loop:IPCL)と比較して,病変部では血管径が増大し,その構造もいびつとなる。拡張・蛇行・口径不同・形状不均一の四徴を見て診断することができる。B1血管単独であれば,M1〜2までのがんであることが多く,B2では,M3〜SM1を中心としたがんとなる。B3ではSM2以深の可能性が出てくる。

    Barrett食道に出てくる粘膜癌の拾い上げは,やはり領域性を持ったびらん性の局面の拾い上げである。炎症の場合は,胃炎と同様にはけで刷いたような境界所見となり,外に凸の局面とはなりにくい。腫瘍の場合は,やはり背景粘膜に対して領域性を呈するような外に凸(expansive)な所見を呈することが多い。低分化型では,粘膜固有層や粘膜下層で浸潤性の発育をすることがしばしばあり,領域性を持った不規則な局面には留意することが重要である。また,腺癌においても,NBI拡大で表面模様の不規則性をもって早期がんを疑うことになる。

    残り806文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top