【質問者】出雲雄大 日本赤十字社医療センター呼吸器内科部長
【コンパニオン診断薬で遺伝子変異を認めなければ,がん遺伝子パネル検査を検討する】
進行肺がんの治療は薬物療法が中心となり,予後の延長と生活の質の維持・向上をめざします。肺がんの半数以上を占める腺がんの場合,約2人に1人は分子標的薬による治療対象となります。「肺癌診療ガイドライン2023」では,進行肺腺がんと診断すると,コンパニオン診断薬を用いてドライバー遺伝子変異を検索することと,8種類の遺伝子変異を同時に検索することが推奨されています1)。一方で,単遺伝子検査を複数行って変異の検索をすべての遺伝子に対して行えていない症例や,マルチ遺伝子変異検査を行った症例で検体の腫瘍細胞数や腫瘍細胞率が低く検査結果が偽陰性の可能性がある場合は,がん遺伝子パネル検査を考慮します。
がん遺伝子パネル検査は,次世代シークエンサーを用いて,1回の検査で通常は数百の遺伝子を同時に調べ,がん細胞における遺伝子の変化を検出する検査です。包括的がんゲノムプロファイリング(comprehensive genomic profiling:CGP)検査とも呼ばれています。
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