株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

急性気管支炎(成人)[私の治療]

No.5210 (2024年03月02日発行) P.35

川口貴子 (産業医科大学医学部呼吸器内科学)

矢寺和博 (産業医科大学医学部呼吸器内科学教授)

登録日: 2024-02-28

最終更新日: 2024-02-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 急性気管支炎は,下気道に含まれる気管支に急性の経過で炎症を起こした状態で,咳嗽を主症状とし肺炎を伴わない病態である。

    ▶診断のポイント

    発症から3週間以内の急性咳嗽が特徴で,胸部画像で肺炎像を伴わない(肺野に新たな異常陰影を認めない)ことが診断に重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    原因微生物の90%以上がウイルス(ライノウイルスやエンテロウイルス,パラインフルエンザウイルス,コロナウイルス,RSウイルスなど)で,そのほか百日咳菌やマイコプラズマなどの細菌が挙げられる。慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎など)などの基礎疾患を有する場合は,ウイルスに加え細菌感染(肺炎球菌やインフルエンザ桿菌,モラクセラなど)が増加する。さらに流行状況に応じて,インフルエンザや新型コロナウイルスの鑑別も重要で,適切な検査および治療の検討が必要である。

    基礎疾患がない場合は,原因微生物が百日咳菌などの細菌と診断あるいは疑われない限り,抗菌薬は原則不要であり,鎮咳薬や去痰薬などの対症療法を行う。一方,罹患すると重症化しやすい高齢者や基礎疾患を有する患者〔慢性呼吸器疾患,心疾患,腎疾患,免疫不全(HIV感染者,担がん患者など),糖尿病など〕の場合は,細菌の二次感染を契機に増悪し肺炎に進展する可能性があるため,抗菌薬投与が推奨される。原因菌の多くに優れた抗菌活性を有し,臨床効果も高いレスピラトリーキノロンが第一選択薬となる。

    残り1,329文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top