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びまん性汎細気管支炎[私の治療]

No.5212 (2024年03月16日発行) P.41

藤田幸男 (奈良県立医科大学呼吸器内科学講座学内講師)

室 繁郎 (奈良県立医科大学呼吸器内科学講座教授)

登録日: 2024-03-13

最終更新日: 2024-03-12

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  • びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は,1969年にHommaら1)によって提唱された呼吸細気管支領域を病変の主座とする慢性炎症性気道性疾患である。男女差はなく,40~50歳代に発症が多いとされるが,各年代層でみられる。高率に慢性副鼻腔炎の合併・既往を認め,副鼻腔気管支症候群のひとつである。東アジア地域の人種特性が明らかとなっており,日本人ではHLA-B54(B5401)との関連が報告2)されている。かつては予後不良の疾患であったが,マクロライド少量長期療法により予後は著明に改善し,発症頻度も激減している。

    ▶診断のポイント

    ①臨床症状(慢性の咳嗽,喀痰,および労作時の息切れ),②慢性副鼻腔炎の合併・既往,③胸部画像所見(胸部X線:両肺野びまん性散布性粒状影,胸部CT:両肺野びまん性小葉中心性粒状病変)で診断する。胸部聴診で断続性ラ音,呼吸機能検査で閉塞性換気障害を認めるが,一般に肺拡散能の低下はみられない。血液検査では,血清寒冷凝集素高値,IgA高値などを認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    DPBに対する治療は,マクロライドの少量投与が基本である。発症早期ほど効果が高く,診断後は速やかに治療を開始する。治療開始後6カ月で総合的に評価を行い,改善が確認され,その後も安定した状態が継続すれば,2年で治療を終了することを検討する。しかし,病状が不安定であるなど,継続投与の必要があれば長期的に投与する。また,治療終了後,自覚症状の増悪や画像所見で再燃を認めた場合は,マクロライドの再投与を行う。

    膿性痰を伴うことが多く,喀痰調整薬の投与により自覚症状の改善を得られることが多い。急性増悪時には,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリス,緑膿菌など,安定期に定着している病原菌をターゲットとした抗菌薬の投与を行う。

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