十二指腸ポリープとは,十二指腸内腔に突出した限局性の隆起性病変の総称である。一般的には良性の病変を指し,異所性胃粘膜や胃上皮化生,ブルンネル腺過形成といった上皮性非腫瘍性病変と,上皮性腫瘍性病変である十二指腸腺腫に大別される。十二指腸腺腫は,発現している粘液形質により腸型と胃型に分類される。胃型は比較的稀だが,腸型に比較して悪性度が高いことが知られている。
十二指腸ポリープは,上部消化管内視鏡検査で偶然に指摘されることが多い。治療対象となる十二指腸腺腫を正確に診断することが重要である。
腸型腺腫:十二指腸の遠位側を中心に発生し,表面隆起型あるいは表面陥凹型の形態で,白色調を呈していることが多い。画像強調併用拡大内視鏡観察(magnified endoscopic examination with image-enhanced endoscopy:IEE-ME)において,管状の表面構造を呈し,白色不透明物質(white opaque substance:WOS)を伴う。
胃型腺腫:十二指腸の近位側に発生し,隆起型あるいは粘膜下腫瘍様の形態で,周囲と同色調~発赤調を呈することが多い。IEE-MEにおいて,円形の表面構造を呈し,WOSは陰性である。
十二指腸腺腫は,他臓器と比較して生検組織診断による正診率は低い。加えて,表面型の場合は生検を行うことで粘膜下層に線維化をきたすこともあるため,基本的に十二指腸腺腫を疑った場合には,あえて生検を行わずに専門医に紹介することを推奨する。
上皮性非腫瘍性病変は原則として治療対象とならないが,出血を伴う大型のブルンネル腺過形成は切除の対象となる。十二指腸腺腫は,原則的に内視鏡切除を検討する。内視鏡治療は,金属製スネアを使用して病変を絞扼して切除するものと,電気メスを使用して病変を剝離していく内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)に大きくわけられる。内視鏡治療の原則として,より正確な病理評価および局所再発予防の観点から,ひとかたまりで病変を摘除する一括切除を重要視している。
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