【質問者】笹田真滋 同愛記念病院呼吸器・腫瘍センター長/呼吸器内科部長
【侵襲度の低い順に「血管塞栓術」「気管支鏡下止血術」「手術療法」を選択する】
喀血の原因疾患は多岐にわたりますが,特に原因を有さない特発性喀血も存在します。こういった疾患背景によらず,「症候」としての喀血に対処する方法は,主に「血管塞栓術」「気管支鏡下止血術」「手術療法」に大別されます。
血管塞栓術とは,つまり歴史的に気管支動脈塞栓術と呼ばれてきた手技であり,現在は気管支動脈だけではなく肋間動脈,下横隔膜動脈,内胸動脈,外側胸動脈など,複数の血管を塞栓する必要があることが知られています。大量喀血に対する緊急止血術のみならず,近年では慢性の喀血・血痰に悩まされる例にも適応が広がっています。
また,塞栓デバイスはわが国においてはジェル状物質による塞栓が多く報告されていますが,金属コイルやヒストアクリル®(n-butyl-2-cyanoacrylate:NBCA)による塞栓報告も増加しています。この施術の最大の特徴は,ともすると窒息に至りかねない喀血という症候を呈する患者に治療をする中で,最も窒息リスクを低く止血アプローチができる点です。この血管塞栓術中に留意すべきなのは,喀血原因である血管を造影した直後に生じる大喀血であり,気道確保が急がれる事態が生じることがあります。
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