急性細気管支炎は主に2歳未満に発症する気道感染症である。細気管支の炎症・浮腫と気道の粘液貯留によって,細気管支が狭小化することで,多呼吸,喘鳴などの呼吸障害を呈する。原因微生物としてRSウイルスが最も多い。乳児期早期や基礎疾患を有する患者では,重症化するリスクが高い。
病歴や身体所見で診断される場合が多い。鼻汁,咳嗽などの上気道症状から始まり,2~4日後に多呼吸,喘鳴などの下気道症状を呈するのが典型的な経過である。細気管支炎の診断のためにルーチンに胸部X線を撮像する必要はない。肺炎や心疾患などを除外する必要がある場合に,胸部X線を検討する。病原体の検索は,その後の治療を変えないため,外来においては,重症例や重症化リスクの高い患者を除いて,ルーチンの検査は不要である。入院が必要な患者では,感染管理のために病原体診断を行う。
補液,鼻腔吸引,酸素投与などの対症療法が中心となる。気管支拡張薬,ステロイド,エピネフリン吸入,抗ロイコトリエン拮抗薬,リバビリン,高張生理食塩水の吸入など,多くの治療法に関して研究が行われているが,現時点では有効な治療法として確立されたものはない。
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