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肺非結核性抗酸菌症[私の治療]

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  • ▶治療の実際

    【肺MAC(Mycobacterium avium complex)症:空洞のないNB型(重症は除く)】

    一手目 :〈A法:連日投与〉クラリス200mg錠(クラリスロマイシン)1回2錠1日2回(朝・夕食後)もしくはジスロマック250mg錠*1(アジスロマイシン水和物)1回1錠1日1回(朝食後),エサンブトール錠(エタンブトール塩酸塩)1回10~15mg/kg(最大750mgまで)1日1回(朝食後),リファジンカプセル*2(リファンピシン)1回10mg/kg 1日1回(朝食前空腹時または朝食後)3剤併用

    一手目 :〈B法:週3回投与〉クラリス200mg錠(クラリスロマイシン)5錠/日 分2(朝3錠・夕2錠)もしくはジスロマック250mg錠(アジスロマイシン水和物)1回2錠1日1回(朝食後),エサンブトール錠(エタンブトール塩酸塩)1回20~25mg/kg(最大1000mgまで)1日1回(朝食後),リファジン150mgカプセル*2(リファンピシン)1回4カプセル1日1回(朝食前空腹時または朝食後)3剤併用

    *1:ジスロマックは保険適用外だが,審査事例として保険審査上認められる。
    *2:リファジンは,忍容性の低い症例や薬剤相互作用を懸念する症例では,減量ないし除くことも検討する。

    【肺MAC症:FC型,cavitary NB型,重度のNB型】

    上記A法(連日投与)に加え,治療初期(3~6カ月)に以下のいずれかを併用する。また,必要に応じて外科的治療を検討する。

    一手目 :硫酸ストレプトマイシン注(ストレプトマイシン硫酸塩)1回15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回(筋注)3~6カ月

    一手目 :アミカシン硫酸塩注(アミカシン硫酸塩)1回15 mg/kg 連日または1回15~25mg/kg 週3回〔点滴静注(TDMで調節)〕3~6カ月,50歳以上の場合1回8~10mg/kg(最大500mgまで)週2~3回〔点滴静注(TDMで調節)〕

    二手目 :〈治療追加〉必要に応じて外科的治療を検討

    【肺MAC症:難治例(多剤併用療法を6カ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な場合)】

    上記A法(連日投与)に加えて,以下のいずれかを併用する。また必要に応じて外科的治療を検討する。

    一手目 :アリケイス吸入液(アミカシン硫酸塩)1回590 mg 1日1回(専用ネブライザーで吸入)

    一手目 :硫酸ストレプトマイシン注(ストレプトマイシン硫酸塩)1回15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回(筋注)

    一手目 :アミカシン硫酸塩注(アミカシン硫酸塩)1回15mg /kg 連日または1回15~25mg/kg 週3回〔点滴静注(TDM で調節)〕,50歳以上の場合1回8~10mg/kg(最大500mgまで)週2~3回〔点滴静注(TDMで調節)〕

    二手目 :〈治療追加〉必要に応じて外科的治療を検討

    【肺M. kansasii症】

    一手目 :リファジンカプセル(リファンピシン)1回10mg /kg(最大600mgまで)1日1回(朝食前空腹時または朝食後),エサンブトール錠(エタンブトール塩酸塩)1回10~15mg/kg(最大750mgまで)1日1回(朝食後),クラリス200mg錠(クラリスロマイシン)1回2錠1日2回(朝・夕食後)(体重<40kgの場合は600mg/日を考慮)3剤併用

    リファジンが耐性や忍容性のために使用できない場合には,適宜,指導医,専門施設へ相談する。


    二手目 :〈処方変更〉一手目のクラリスに代えて,ジスロマック250mg錠*1(アジスロマイシン水和物)1回1錠1日1回(朝食後)もしくはイスコチン原末(イソニアジド)1回5mg/kg(300mgまで)1日1回(朝食後)の3剤併用

    イスコチンは保険適用がない。

    【肺M. abscessus species症】

    マクロライド耐性の有無で治療をわけ,さらにそれぞれにおいて,点滴薬を併用する治療強化期間とその後の維持期間にわけた治療が推奨されている。学会の2023年改訂見解1)を参照。

    ▶専門家へのコンサルト

    急速進展やマクロライド耐性などの難治例,喀血持続例,薬剤副作用で投薬困難例,外科的治療を検討しうる有空洞例などは専門家にコンサルトする。

    【文献】

    1) 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 他:成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2023年改訂. 2023.
    https://www.kekkaku.gr.jp/wp-content/uploads/2023/06/876fc7b7e79db16bd4f10d91fc884e3c.pdf

    2) Griffith DE, et al:Am J Respir Crit Care Med. 2007;175 (4):367-416.

    3) Daley CL, et al:Clin Infect Dis. 2020;71(4):905-13.

    石井 誠(名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻病態内科学講座呼吸器内科学教授)

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