株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

食道アカラシア[私の治療]

No.5221 (2024年05月18日発行) P.46

井上晴洋 (昭和大学江東豊洲病院消化器センターセンター長/特任教授)

登録日: 2024-05-16

最終更新日: 2024-05-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 食道全体の運動不全(正常蠕動の消失あるいは異常収縮の出現)および下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全により,嚥下障害等を生じる疾患である。

    ▶診断のポイント

    バリウム透視により,LESの弛緩不全による食道体部へのバリウムの貯留(液面形成)と食道体部の拡張,無蠕動,異常収縮を認める。確定診断には,高解像度食道内圧測定(high resolution manometry:HRM)による食道正常蠕動の消失または異常収縮の出現,嚥下時にLESの弛緩不全の確認が必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方・治療の実際

    食道アカラシア(以下,アカラシア)は経時的に嚥下障害などの症状の消長は認めるものの,自然治癒をすることのない良性疾患である。慢性疾患であることから,診断を確定後,待機的に以下の治療を行う。我々の治療方針は,自験例3000例の経験と,「POEM診療ガイドライン」に基づく。

    【標準治療】

    経口内視鏡的食道筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy:POEM)を施行する。外科手術に比べて低侵襲であり,ほとんどの症例が1回のPOEMで治療効果は永続する。専門施設で行えば安全な治療法である。

    以下,アカラシアにおける他の治療方法と,それに対するPOEMの利点等について解説する。

    残り1,400文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top