〈活動性の高い重要臓器障害〉
一手目 プレドニンⓇ5mg錠(プレドニゾロン)20~60mg/日 分1~3(食後)
重症例ではステロイド(メチルプレドニゾロン)パルス療法を考慮する。
二手目 〈一手目に追加〉エンドキサンⓇ注(シクロホスファミド水和物)1回500~1000mg/m2 1日1回(点滴静注)4週間隔
年齢,合併症,骨髄抑制の状況により適宜用量を調整する。
〈関節痛・関節炎〉
一手目 ロキソニンⓇ60mg錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物)1回1錠1日3回(毎食後)
二手目 〈一手目に追加,または処方変更〉プレドニンⓇ5mg錠(プレドニゾロン)5~15mg/日 分1~3(食後)
〈皮疹〉
一手目 リンデロンⓇ-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)1日1〜数回適量を患部に塗布
二手目 〈重度の場合,一手目に追加〉経口グルココルチコイド〔プレドニンⓇ5mg錠(プレドニゾロン)5~15mg/日 分1~3〕を考慮
〈眼局所療法〉
一手目 ヒアレインⓇ点眼液0.1%・0.3%またはヒアレインⓇミニ点眼液0.1%・0.3%(精製ヒアルロン酸ナトリウム)1回1滴1日5~6回,症状により適宜増減
通常は0.1%製剤,効果不十分の場合には0.3%製剤を投与する。また,重症ドライアイでは防腐剤を含まない1回使いきりのヒアレインⓇミニ点眼液のほうが望ましい。
二手目 〈一手目に追加,または処方変更〉ジクアスⓇ点眼液3%(ジクアホソルナトリウム)1回1滴1日6回
1日3回の点眼でよい,ジクアスⓇLX点眼液3%も2022年11月に上市された。
三手目 〈一手目・二手目に追加,または処方変更〉ムコスタⓇ点眼液UD 2%(レバミピド)1回1滴1日4回
四手目 〈一~三手目に追加〉涙点プラグ
〈内服療法(唾液分泌刺激薬)〉
一手目 エボザックⓇ30mgカプセルまたはサリグレンⓇ 30mgカプセル(セビメリン塩酸塩水和物)1回1カプセル1日3回(毎食後)
二手目 〈処方変更〉サラジェンⓇ5mg錠またはサラジェンⓇ顆粒0.5%(ピロカルピン塩酸塩)1回5mg 1日3回(毎食後)
以下の場合には,専門家へのコンサルトを考慮する。
①SS初発時の診断確定と,臓器障害,合併する他の膠原病の評価を行う場合
②活動性の高い重要臓器障害を伴う場合
③治療を必要とする他の膠原病を合併した二次性SSの場合
④挙児希望の場合(抗SS-A抗体陽性妊婦における,胎児心ブロック,新生児ループスの管理)
⑤重症の腺病変を認める場合
⑥悪性リンパ腫の合併が疑われる場合
挙児希望のある若年女性患者の場合には,抗SS-A抗体陽性妊婦における胎児心ブロック(約1%),新生児ループス(約10%)のリスクについて説明する。
【文献】
1)Fujibayashi T, et al:Mod Rheumatol. 2004;14(6):425-34.
2)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班, 編:シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版. 診断と治療社, 2017.
3)Ramos-Casals M, et al:Ann Rheum Dis. 2020;79(1):3-18.
坪井洋人(筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学准教授)
東光裕史(筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学)
松本 功(筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学教授)