専門家へのコンサルトが望ましい。
一手目 超速効型インスリンと持効型インスリンを組み合わせたインスリン頻回注射療法(強化療法)を開始
1日1回注射の持効型インスリンにはトレシーバⓇ注(インスリン デグルデク),食前に使用する超速効型インスリンにはノボラピッドⓇ注(インスリン アスパルト),ヒューマログⓇ注(インスリン リスプロ),アピドラⓇ注(インスリン グルリジン)が多く使われる。
二手目 〈処方変更〉ノボラピッドⓇ注(インスリン アスパルト)→血糖降下作用がより速く発揮されるフィアスプⓇ注(インスリン アスパルト),あるいはヒューマログⓇ注(インスリン リスプロ)→血糖降下作用がより速く発揮されるルムジェブⓇ注(インスリン リスプロ)
三手目 〈カーボカウントやポンプの操作を習得できた場合,治療変更〉インスリンポンプ療法,SAP(sensor augmented pump)療法
一手目 食事・運動療法でコントロール困難な場合,メトグルコⓇ250mg錠(メトホルミン塩酸塩)1回1錠1日1~2回から開始,効果不十分ならば漸増
食事・運動療法で血糖,体重のコントロールが難しい場合,経口血糖降下薬を併用することも多い。
二手目 〈食欲が抑制できない場合,一手目に追加〉オゼンピックⓇ注(セマグルチド)1回0.25mg週1回(皮下注)から開始し,効果が不十分な場合には1カ月ごとに0.5mg→1.0mgに増量
注射療法に抵抗がある場合には,経口薬のリベルサスⓇ錠(セマグルチド)を1回3mg 1日1回から開始し,効果が不十分な場合には1カ月ごとに7mg→14mgまで増量
三手目 〈処方変更〉マンジャロⓇ注アテオスⓇ(チルゼパチド)1回2.5mg週1回(皮下注)から開始し,血糖改善効果が不十分な場合には1カ月ごとに5mg→ 7.5mg→10mg→12.5mg→15mgまで増量可能
四手目 〈処方変更〉血糖降下薬とセマグルチドまたはチルゼパチドの最大用量で血糖改善効果が不十分な場合には,持効型インスリン1日1回注射を併用
一手目 DPP-4阻害薬,SU薬,グリニド薬などを中止して,トルリシティⓇ注アテオスⓇ(デュラグルチド)1回0.75mg 週1回(皮下注)
二手目 〈治療変更〉血糖が改善してきたら,経口血糖降下薬を減薬
1型糖尿病や血糖コントロールが困難な2型糖尿病患者については,専門家にコンサルトすることが望ましい。
注射療法,特にインスリン療法に対して不要にネガティブな印象を持ち,治療を拒むケースがある。その際,注射デバイスや器具の実物を見せて手技的に難しくないことや治療の必要性を説明する。
【参考資料】
▶日本糖尿病学会, 編, 著:糖尿病専門医研修ガイドブック. 改訂第9版. 診断と治療社, 2023.
▶日本糖尿病学会, 編, 著:糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, 2022.
大西由希子(朝日生命成人病研究所診療部長/糖尿病内科部長/治験部長)