日本産科婦人科学会(藤井知行理事長)が監修した妊婦向け副読本の中で、妊婦がリスクを自己評価し、リスクに応じた分娩施設を選ぶよう推奨していることに対し、日本産婦人科医会(木下勝之会長)は10月29日、「承服しがたい」とする文書を日産婦に送付した。
副読本『Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本』では、年齢や既往歴などで分娩リスクに点数を付け、「4点以上は大学病院、2~3点は総合病院、0~1点は個人病院、診療所、助産所」などと階層化。「リスクの程度によって分娩施設がおのずと決まります」と説明している。
これに対し医会は、「一次施設はレベルが低いと誤解されるような記述は、日本の産科医療に貢献している診療所、個人病院にはきわめて不本意」と反論。さらに「リスクの判断も医師が行うのではなく、妊婦に頼るのが望ましいような指導書にすることは承服しがたい」と訴え、医師の判断を尊重する記述への修正を求めた。
抗議を受けて、日産婦の藤井理事長は30日、「(修正の)検討を開始した」と会員に周知した。
なお、産科開業医や助産師、妊婦サポーターで構成する日本産婦人科協会(大川豊会長)も副読本を問題視。「個人病院、診療所、助産所に妊婦が来なくなり、周産期センターに過大な負荷をかける」として、妊婦に配布しないよう呼びかけている。