関西医大の森本尚樹講師(形成外科学)を中心とする研究チームは7日、生まれつき巨大な母斑(ほくろ)が体表に生じ、悪性黒色腫の発症リスクが高い「先天性巨大色素性母斑」に対する新規治療法を用いた臨床研究を、来年1月にも開始すると発表した。
同疾患の治療法には皮膚移植術やレーザー治療などがあるが、「大きな瘢痕が残る」「複数回の手術を乳幼児期から行う」「完全な切除が難しい」などの難点がある。
一方、臨床研究では、切除した母斑組織を2000気圧の高圧で処理することで、コラーゲンなどの成分はそのままに腫瘍細胞のみを殺した真皮を患者に移植。これとは別に、母斑周辺から採取した正常な表皮を3週間培養した後、再建した真皮の上に移植する。
患者自身の組織を再移植する手法は世界初。切除やレーザーより侵襲性が低く、移植した組織が生着しやすいなどの利点がある。この治療法について、森本講師は同日の会見で「将来的には乳癌や頭頸部癌など皮膚以外の悪性腫瘍への応用も展望できる」と話した。