ノバルティスファーマ社の降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の論文不正事件の公判について桑島巖氏(臨床研究適正評価教育機構〔J-CLEAR〕理事長)が2日、両群の血圧値の奇妙な一致も争点にすべきと訴えた。
ディオバン事件では、ノ社元社員が論文データを改竄したとして薬事法違反(虚偽広告)の罪に問われており、元社員は無罪を主張。公判の争点は、京都府立医大の研究者が発表したKyoto Heart Studyのサブ解析論文において、元社員が非ARB群のイベント数を水増ししたかどうかなど。
2日の会見で桑島氏は、不正発覚の端緒はディオバンの論文でディオバン群と対照群の血圧値が奇妙に一致していることだったにもかかわらず、公判ではこれが争点になっていないことを問題視。「血圧値の操作は現場の医師には不可能で、全体を操作できる人間に限られる」と指摘した。